子宮頸がんとは

20代30代女性の発症率が急増!子宮頸がんは、どんな病気?治療方法は?

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子宮頸がんは、体質や遺伝ではなく、性交渉経験のある女性なら誰もがかかる可能性のある病気です。ここでは子宮頸がんという病気と治療について、わかりやすくご説明します。

病気について

「子宮頸がん」と「子宮体がん」の違い

子宮には2つの異なる“がん”があります。

子宮は卵巣や卵管などとともに骨盤の内側にあり、大きさはおよそ鶏の卵大。洋ナシを逆さにしたような形をしています。そこにできる「子宮がん」は、子宮の入り口の頸部にできる「子宮頸がん」と、子宮の奥の子宮体部にできる「子宮体がん」の2つに分けられます。子宮頸がんと子宮体がんは実は、まったく異なる病気です。粘膜の構造や働きが異なり、がんの発生の原因や性質も違うため、検査方法や治療法なども異なります。

子宮のしくみ

子宮のしくみ

若い世代に多い子宮頸がん・50代に多い子宮体がん

  子宮頸がん 子宮体がん
自覚症状 無症状(初期) 不正性器出血
明らかになっている原因 HPV 女性ホルモン
年齢のピーク 30〜40代(20代急増) 50代
早期発見のポイント 検診 不正性器出血で受診

「子宮頸がん」はこんな病気

子宮頸がんは、20代30代の女性がかかるがんの第1位。

子宮の入り口の頸部にできる子宮頸がんは、上皮内がんを含むと20代30代女性がかかるがんの第1位で、子宮がん全体の約70%を占めています(※1)。ただし、子宮頸がんは決して恐れる病気ではありません。がんというと怖いイメージがありますが、5年相対生存率を見ても、初期の段階で発見・治療ができれば生存率は95.7%(※2)。子宮頸がんは、早く見つければ治せる病気なのです。

  • (※1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)2017年のデータより
  • (※2)全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書

原因と進行

「子宮頸がん」の原因と感染リスク

体質や遺伝ではなく、性交渉によるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。

子宮頸がんには、かかりやすい体質や遺伝によるものは稀です。原因のほとんどは、性交渉によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。HPVは非常にありふれたウイルスで、多くの人は感染しても自己免疫力でウイルスを検査では検出できない状態にすることができますが、約10%の人がウイルスを排除できずに持続感染し、その結果、子宮頸部の細胞に異形が起きて子宮頸がんへと進行します(※3)。一度でも性交経験のある女性なら誰もがかかる可能性があり、一人の相手との性交渉だけでも感染のリスクがあります。発症のピークは40代が多くなりますが、最近では20代30代に急増しています。その原因は、性体験が低年齢化していることと、この年代層の検診受診率が低いためと考えられます。

  • (※3)Ho, GYF. et al.: Natural history of cervicovaginal papillomavirus infection in young women. N Engl J Med, 338: 423, 1998.

女性の各種がんの発症率の推移

女性の各種がんの発症率の推移
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(1975~2015年)

進行は?

長い時間をかけて進行するので、定期的な検診で予防できます。

子宮頸がんの進行にはいくつかの段階があります。まずは子宮頸部の粘膜にHPVが感染し、持続感染した一部で「異形成(前がん病変)」が出現します。次に、異形成に遺伝子の変化が起きてがん化すると子宮頸がんとなり、子宮頸部の深いところや周辺に広がっていきます。ただし、HPV感染から子宮頸がんへと進行するまでには、およそ5年~数十年という長い年月がかかります。定期的な検診を続けていれば、がんになる前の異形成の段階で発見できるので、予防できるうえ、ほぼ100%治すことができ、妊娠も可能です。

子宮頸がん細胞の発生メカニズム

子宮頸がん細胞の発生メカニズム
HPV
ヒトパピローマウイルス“Human Papillomavirus”の略。
半数以上の女性が一生に一度は感染するといわれているほど、ごくありふれたウイルス。
持続感染
感染した状態が長く続くこと
異形成
正常な細胞が感染して、変化を起こし、異なった形態の細胞「異型細胞」ができること。

症状について

どんな症状があるの?

進行がんになるまでは、自覚症状はほぼありません。予防には検診が最も重要です。

子宮頸がんは、初期や少しだけ進行した段階でも、がんは肉眼で確認できる大きさではなく、ほとんど自覚症状がありません。検診を受けなければほとんど気づくことができないので、症状が出る前に定期的な検診で早期発見することが重要です。また、一部の子宮頸がんは急速に進行することがあります。検診で異常がなくとも、出血やおりものの異常などの症状があれば、すみやかに保険診療で産婦人科を受診することが大切です。

初期の子宮頸がん

まれに月経でないときの出血や、性交渉時、あるいはその後の出血がみられることがありますがほとんどは無症状です。

子宮頸がんが進行

不正出血が多くなったり、おりものがピンクや褐色になったりします。そのうち、おりものに膿が混ざったり、悪臭がしたり、下腹部痛や腰痛、排尿障害や排便障害、血尿や血便などの症状が出てくることがあります。

20〜30代の女性にこんなに増えているのに、自覚症状がないから気づきにくいのね…

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